離婚の原因はお父さんの浮気調査ではなかった。世の中にはたくさんの魅力的な女性がいることを知り、M君のお母さんはもはや”古着の様なもの”でしかなく”古着”に縛られたくないという思いが強くなっていたからだ。M君のお母さんは満州の引揚者で極貧の中で育ってきているせいかちょっと人生を達観しているようなところがあって「どうせダメになってしまったものはだめ」という割り切りがすごくてあっさり離婚してしまった。子供との絆より自由な未来を選択してM君のうちを出て行った。
M君にとって暴君のお父さんは今までお母さんというクッション越しで生活していたが離婚したその日から緩衝材がなくなり直接対峙することになった。M君にとってむちゃくちゃなお父さんとの生活はとても耐えられるものではなくいつも死ぬことばかりを考えていたが死ぬ勇気を持てなかったM君は毎日自殺することばかりを考えて17歳まで過ごすことになったという。彼の眼の奥の空虚さはきっとそのせいだと友人から話を聞いた時合点がいった。